住職の日記

薬師護摩の表白

先日、施餓鬼供養の表白を紹介しました。 今回は、毎月8日10時より行っている薬師護摩の表白を紹介します。 こんな格調高いものを、自分が作ったわけではありません。 基になっているのは、室町時代の高僧印融さんの『諸尊表白集』です。 タイトルの通り…

三力偈

今日は胡瓜加持にご参加くださりありがとうございました。 加持とは、一般的には仏様の加護のことです。 真言宗的には、お大師様が「仏日の影」と表現されているように、仏の慈悲が衆生に向けられることを「加」、それを衆生が信心によって受けることを「持…

記念得度?冥途の土産?

先日、度牒についてお話ししましたが、それと関係のあるお話です。 以前に、社会人向けに仏教を教える塾のお手伝いをしたことがあります。 学問として仏教を学ぶという面だけではなく、実践的な部分も体験してもらい、やる気のある方は得度を目指すといった…

施餓鬼の表白 

法要の中で、僧侶が仰々しく宣言書のようなものを読み上げるのに気付いている方もいらっしゃるでしょう。 「表白」(高野山では濁らずに「ひょうひゃく」と読みます)とか、「諷誦文」というものです。 法要の際に、本尊様に対して法要の旨趣を啓白するもので…

施餓鬼2021

本日は施餓鬼法要にお参り下さり、ありがとうございます。 いつもよく分からないお経(理趣経なんですけど)を聞かされてばかりでたまらないと思っておられたかもしれません。 その点、今年はよくわかる内容の歌があったりして、少し趣が違うと感じたのではな…

度諜(どちょう) ~僧侶の身分証~

他の宗派の方の話です。 無事に得度をされて、僧侶としてのスタートを切ったそうです。 その後、京都にある本山にお参りをして、自分が得度したことがちゃんと登録されているかを確認してもらったところ、登録されていなかったそうです。 得度した寺にクレー…

終息?収束?

伝聞になってしまうのですが、ある宗門大学の先生(立派な僧侶でもいらっしゃいます)が、真言宗の僧侶ならば「コロナ終息」ではなく「コロナ収束」と表記すべきであると仰っていたそうです。 「終息」とは「完全に制圧すること」を指すのに対して、「収束」は…

布施は100×1よりも1×100

先日、ある業者さんの依頼で導師を勤めた葬儀を終え、帰ろうとすると、参列者のお一人から声をかけられました。なんと、以前に葬儀をしたときの喪主さんでした。本当に偶然です。というのもその以前の葬儀と言うのも、とあるお寺の下請けの下請けみたいな形…

必要な時間はそれぞれ

遠い昔の記憶ですが、大学で刑法を習ったときに、いつから「人」となり、いつ「人」でなくなるのか、という話がありました。 始期についていえば、「堕胎罪」の客体となるのか、「傷害罪」や「殺人罪」の客体となるのかの問題になりますし、終期についていえ…

不慳貪

今日も十善戒の話の続きです。 今日からは「心」の戒律です。 「不慳貪」とは、ごく簡単に言えば、物惜しみをしないこと、欲張らないことです。 以前に、塾で教えていたときのことです。 同僚の社会の先生が授業を終えて職員室に戻ってきて、こんなことがあ…

聖地は自分で創るもの

かつては「聖地巡礼」といえば、四国のお遍路さんや西国巡礼、海外ならばフランスからスペインにかけてのキリスト教の巡礼であるサンティアゴ・デ・コンポステーラなどをイメージする方がほとんどだったと思います。 しかし、現在では、ネットで検索しても分…

不両舌

今日も十善戒の続きです。 言葉に関する戒の最後に出てくるのは「不両舌」です。 よく、文字通りに「二枚舌を使わないこと」と説明されていることもあります。 しかし、実際はそう単純ではありません。 ある人にはAと言い、別の人にはBと言うことにより、仲…

余韻こそ贅沢

以前、塾講師をしていた頃の同僚の方々は個性豊かな面々でした。 その中のお一人は、アマチュアで指揮者をなさっているとのことでしたが、こんなことをおっしゃっていました。 「人生で至福の時と聞かれたら、演奏が終わった瞬間の静寂と答えるよ。ときどき…

リモート法要と運心(うんじん)

先日、初めてオンライン法要というものを致しました。 こちらからの話ではなく、自宅に伺って三回忌をする予定だった施主さんから、要望があり、それに応える形でした。 自分の中では、これでもちゃんとした供養といえるのか、モヤモヤした気持ちであったの…

お布施① 【お布施の受取人は誰】

以前に、師僧から、 「お布施をもらうときに、『ありがとう』って言っちゃいけないよ。『お預かりします』と言うんだよ。」 と言われました。 なるほどその通りです。 お布施を受け取るのは、あくまでもお寺であり、お寺にいらっしゃる仏様であるわけです。 …

仏壇は小さなお寺

最近は仏壇もコンパクトでお洒落なものが増えてまいりました。 昔の家のように仏間が当然のようにあった時代とも違いますし、マンションに冷蔵庫ばりに大きな仏壇というのもアンバランスだったりしますので、当然の流れといえるでしょう。 先日、四十九日で…

天上天下唯我独尊

今日は花祭りということで、お釈迦さまの話をしたいと思います。 既に、玄関にいらっしゃった、生まれたばかりのお釈迦さまに甘茶をかけて下さったかもしれません。 ご存じの通り、今から二千五百年ほどむかしの今日、四月八日にお釈迦さまがお生まれになり…

大師はいまだおわしますなる

もちろん、今日の主役は弘法大師です。 では、弘法大師が生まれたのはいつですか 詳しい方なら、宝亀5(774)年6月15日とスラスラと出てくるかもしれません。 お生まれになったのは香川県の屛風ヶ浦、いまの善通寺のあたりです。高野山などでは「青葉まつり…

オレオレ詐欺 オレオレ僧侶

少し前のニュースですが、いわゆる「オレオレ詐欺」の「受け子」の見分け方として特徴がいくつが上がっていました。 たとえば、身体にあわないスーツを着ている、スーツなのに運動靴を履いている、社会人らしくない髪型をしているなどです。 これを受けて、…

不悪口

今日も十善戒のお話です。 口にまつわる戒律の続きになります。不妄語、不綺語の次は不悪口です。 今までのものよりも、意味を推し量ることが容易な気がするかもしれません。 しかし、一般的に用いる「悪口」を言ってはならないということではないのです。 …

炉前読経とか 火葬式とか

炉前読経というものをご存じでしょうか。 文字通り、火葬場の炉の前で、僧侶が簡単なお経をあげてお送りするものです。 業者さんの中には「火葬式」という表現を使っているところもありますが、「火+葬式」ではなく、「火葬+式」と思ったほうがよいでしょ…

見えない力

先日、ある本で、上座部仏教(主に東南アジアで盛んな仏教)の長老さんがこのようなことを書いておられました。 「神仏に加護を願う文化は世界中に有りますが、御守をぶら下げる文化は日本独特のものでしょう。(中略)以前に、あるお坊さんから、お守りとして頂…

坊さん いろいろ

少し前の話ですが、ある大きなお寺が葬儀をする資格のない見習い僧侶を出仕させたとして問題となりました。 檀家さんの葬儀で、作法がいつもと違うことに気づいた方が、問い詰めたところ本人が認めたそうです。 よく気付いたものだと思いました。というのも…

不綺語

今回も十善戒のお話です。 前回の不妄語に続いて、言葉に関する戒です。 「不綺語」 「綺」とは「綺麗」の「綺」ですから、悪い意味が無いように感じるかもしれませんが、そうではありません。 意味としては、中身のない、無意味な言葉ということになります…

名は体を表す

知り合いの僧侶の方が、初めて戒名をつけることになりました。 戒名をつける際には、ご喪家から、お人柄やご趣味などをうかがい、それらを象徴、反映する文字を仏典や祖師の言葉などから選び、作成します。 戒名作成には、色々と技術的な決まりがあるのです…

偽薬ではなく本物の薬を調合するために 代受苦の覚悟

先日、いつもお寺を手伝ってくださっている僧侶の方がボソッとこんなことを仰いました。 「行者というものは『代受苦』者のように、自分に厳しい方ばかりだと思っていたのですが、そうではないんですね。」 ドキッとしました。 自分は咄嗟に 「中身が伴わな…

宗旨替えの前に

うちは檀家寺ですが、決して檀家の数が多いとはいえません。したがって、依頼があれば、少々遠隔地でも法務を引き受けることがあります。 最近も、「高野山真言宗」をご希望というご葬家さんということで、すこし離れたところで葬儀をさせていただきました。…

慈悲の鎧

昨年はコロナ一色といった感じで終わりました。今年もしばらくは我慢の日々が続きそうです。 昨年から、香川の善通寺さんで開かれている「疫病の祈り伝授会」を受けに行ってます。文字通り、昨今の状況を鑑みて、身体健全や疫病退散に特化した様々な修法を学…

不妄語

十善戒の続きです。 前回までは、不殺生、不偸盗、不邪淫という身すなわち行動面での戒律でした。 今回からは言葉に関する戒律が四つ続きます。 まず最初にお話しするのが、不妄語戒です。 不妄語戒とは簡単に言うと、噓をつくなということです。 中には、「…

負の言葉を避ける

よく知られた実験です。 ある人に、高温に熱した焼け火箸(アイロンとかでもいいです)を見せます。 その後、目隠しをします。 そして、火箸を当てるぞと脅かしながら、ただのボールペンを腕にあてます。 すると、やけどの症状がでるというものです。 どうやら…