2020-01-01から1年間の記事一覧

仏>霊? 霊>仏?

あるお寺の懇親会に参加した時のことです。 たくさんのお弟子さんを抱えているお寺で、そのときもベテランの老僧から、得度したばっかりの新発意(しんぼっち、しんぼち=なりたてのお坊さん)さんまで20名ほどは参加されていたと記憶しています。 その中のお…

何をするかではなく、誰がするか

真言宗では、加行(けぎょう)という修行を終えて伝法灌頂を受けると阿闍梨となります。 「阿闍梨」という単語を聞くと、物凄い人のように聞こえるかもしれません。 しかし、真言宗では、「やっと一人前のお坊さん」になった、くらいの意味です。 ※ 加行につい…

ペットの成仏

前回の「ペット供養」の続きです。 ペットが成仏できるかどうか、については決まった答えがありません。 ネットで「ペット 成仏」で検索すると、百家争鳴というか、それって何を根拠にして述べてるの?と首をかしげたくなる「教祖様」たちの意見に出会えて面…

ペット供養

拙寺を参拝する方は少ないですが、動物は沢山来てくれています。 朝、外のお堂でお参りしていると、鳥たちが一緒に真言を唱えてくれているかのように喧しく鳴いてくれます。春先には頼りない鳴き声だったウグイスも、初夏を迎えた今では上手に鳴くようになり…

最高の荘厳 最高の終活

先日、お参りに来られた方が 「なぜ、お寺にはきらびやかな飾りがたくさんあるんですか?」 とお尋ねになりました。 お寺の飾りつけを総称して「荘厳(しょうごん)」と言います。 たとえば、上からぶら下がっている「幢幡(どうばん)」は元々は布製の幡を集め…

何を言うかではなく、誰が言うか

法事の席では、当然檀家以外の方もおられます。というか、ウチの場合はほとんどの方が檀家以外だったりします。 あるとき、お一人の方が 「うちの住職は、年を取って、お経の声はかすれるし、法話は前と同じものをしたりするけど、それでいいんだ。この人だ…

不惜身命

以前に、尊敬するお坊さんとして高校受験の時に祈願してくださった方の話を致しました。ちょうどそのころから、他に尊敬する人物として、自分が名前を挙げるようになった方がいます。 山口良忠という方です。 自分が法律の道を目指そうと決めた時期、母親か…

安心(あんじん)

あるお寺のご住職が、ある機関紙にこんな内容の寄稿(本当はもっと長文です)をしていたそうです。 現在のコロナ禍の原因の一つは免疫力の低下である。 そして、免疫力の低下を引き起こす原因の一つが水子の祟りである。 だから、今こそ水子供養をしなくてはな…

拝むから仏になる

お寺にも色々な営業の方がいらっしゃいます。先日は香木の営業の方かいらっしゃいました。 一押しは白檀で作られた仏像の様で、しきりに勧めてきましたが、「今、いらっしゃる仏様だけでもお護りするのが大変なんです。」とお断りしました。こちらの真意は分…

祈願

本日も、お参り下さりありがとうございます。 花祭りに、護摩供養。お釈迦さまはびっくりされているかもしれません。 というのも、お釈迦さまは色々な祈願を禁止していました。 私たち真言宗の「お家芸」である真言もまじないのたぐいとして原則として禁じら…

衛門三郎

本日は御影供にお集まり下さりありがとうございました。 毎年の行事ですので、御影供の意味をお話しする必要もないでしょうから、代わりに弘法大師さんの逸話を一つ紹介しようと思います。 四国遍路はみなさんご存じでしょう。俗に「最初のお遍路さん」と言…

一番簡単な修行 六波羅蜜行

よく、お坊さんの修行ってどんなことをするんですか? と尋ねられます。 「滝に打たれたりするんですか?」とか、「山の中を走り回るんですか?」とか言われて、「いえ、そんなのはしないですよ。」と答えると、大概の方は残念そうな顔をされます。 たしかに高…

まずは建前

コロナの影響で、本山行事や伝授会、講習など軒並み延期、もしくは中止となっております。 そんな中で、お二人の僧侶の方からお手紙を頂きました。 お一人の方の手紙には「コロナ騒動のせいで、予定していた加行が延期にならないか心配です。」とありました…

一、声 二、顔

コロナの影響は法事にも及んでおります。 遠くからの親戚は呼ばずに、ごくごく身内で済ませたりという例も多くなってまいりました。 そんな中で、近く行われるはずだった一周忌を延期してほしいというお話がありました。檀家の方ではないのですが、縁あって…

信仰と依存

以前、先達をしていたときのことです。 お客様から、「落とした数珠を拾うときの真言を教えてください。」と言われました。 自分は、そのような真言を知りません。 別の日には、他のお客様からも同じ質問を受けました。 この質問を受けたのは、自分だけでは…

越三昧耶

越三昧耶(おつさんまや)とは、三昧耶の境界を軽んずる、或いは違越する罪で「越法(おっぽう)罪」とも言います。 ピンとこないですよね。ここでいう三昧耶とは仏様との約束事という意味です。越三昧耶の内容には、色々とあるのですが(不平等な見識をもつこと…

雑巾になれ(菩薩行)

少し仏教に興味を持っている方なら、仏様(といっても広義の仏様)は4種類に分類できることをご存じかと思います。 ①如来(これが狭義の仏です) ②菩薩 ③天部 ④明王 の4種類です。 中には、この種類に順位付けをして「如来」を最上位と説明する方もおられますが…

回忌法要

以前、同じ真言宗の智山派開催の勉強会に参加致しました。 内容は葬儀と回忌法要に関してのものでした。そこでの質疑応答の一部を要約してご紹介したいと思います。 問 回忌法要をすべてやらないと成仏できないのか。もしそうだとしたら子孫や縁者がおらず、…

法友

以前、八千枚護摩の伝授を受けた際、伝授阿闍梨さんがこんな話をしてくださいました。 その大阿さんも若い頃は色々と悩んでおられたようで、あるとき自分の閉塞的な状況を変えようと八千枚護摩を修法しようと思い立ったそうです。そのことを師僧に相談すると…

加持祈祷

高野山にいるとき、抑揚のついた「クサイ」お経をあげると、「拝み屋みたいなお経をあげるな!」と叱られたものです(お経は雨だれのように一定のリズムで唱えるようにと言われています)。 真言宗は加持祈祷の宗教といっても良いくらいですから「拝む」ことは…

理趣経の要点(百字偈)

真言宗で必ず読まれるお経といえば理趣経です。密教をよくご存じの方なら、他に大日経や金剛頂経という重要な経典も知っておられるでしょうが、こちらは修行方法や理念を示すもので読経するためのものではありません。理趣経も金剛頂経の一部なのですが、こ…

護摩の楽しみ方

今日は土曜日ということもあり、沢山の方にお参りいただきありがとうございます。 いつも来てくださる方の中には、大分目が肥えて、この作法が始まるとそろそろ終わりかなとか、今日はいつもより火の勢いが無いな、なんて思われる方もいらっしゃるかもしれま…

得度

先日、寺のお手伝いをしてくだっている方が高野山の塔頭で得度するということで、式に出席してまいりました。 自分が得度したときは、何が何やら分からないままに終わってしまいましたので、どんなことをしたのか殆ど覚えていません。そういう意味で今回は改…

客塵を払う(令和2年2月薬師護摩)

いつも護摩においでの方だと色々な作法に気づかれるようになっておられるかも知れません。 たとえば、樒の葉を炉の中に投げ込む場面。一方で、炉の外に投げる時もありますね。別にコントロールミスして外しているわけではありません。あれは仏様がお座りにな…

都合よく考えてみましょう(令和2年初薬師の法話)

本日は荒天の中、護摩にご参加くださりありがとうございます。 どうしてもこういうときには「あいにくの天気で」と言ってしまいますが、そもそも天気に「あいにくの天気」などというものはありません。最近晴天続きで乾燥しておりましたので植物なんかは大喜…

運がいい(令和2年星祭の法話)

有名な話ですのでご存じの方もいらっしゃるかもしれません。 松下幸之助さんは、入社面接の最後にこう尋ねたそうです。「あなたは運がいいですか?」と。そして、「運が悪い」と答えた人は、どんなに成績優秀であっても不採用としたそうです。 理由は色々ある…