得度

先日、寺のお手伝いをしてくだっている方が高野山塔頭で得度するということで、式に出席してまいりました。

自分が得度したときは、何が何やら分からないままに終わってしまいましたので、どんなことをしたのか殆ど覚えていません。そういう意味で今回は改めて得度の意義を再認識する良い機会になりました。また、昨年、作法部(その中に出家作法があります)の伝授を受けたばかりだったのもよいタイミングでした。

式の前日に、今回、師僧を引き受けてくださった上綱様のお話の中から、不正確かもしれませんが、いくつかご紹介いたします。

 

得度にあたり、沙弥の十戒を授けます。

その内容は

不殺生(ふせっしょう):生き物を殺してはならない。
不偸盗(ふちゅうとう):盗んではならない。
不淫(ふいん):性行為をしてはならない。
不妄語(ふもうご):嘘をついてはならない。
不飲酒(ふおんじゅ):酒を飲んではならない。
不塗飾香鬘(ふずじきこうまん):香水や装飾品を身に付けてはならない。
不歌舞観聴(ふかぶかんちょう):歌や踊りをするのも見るのもいけない。
不坐高広大牀(ふざこうこうだいしょう):膝よりも高い寝具や、ふかふかの椅子に座ってはいけない。
不非時食(ふひじじき):食事は一日二回で、昼以降は液体しか駄目。
不蓄金銀宝(ふちくこんごんほう):お金や金銀などの財産を所有してはならない。

※ 僧俗に通じる十善戒(不殺生、不偸盗、不邪淫、不妄語、不綺語、不悪口、不両舌、不慳貪、不瞋恚、不邪見)を授ける場合もありますが、今回は沙弥の十戒でした。

 

現実的に守れないものもある(そこで、「○○すれば、守ったことになる」というチート技もあるらしい)。

仏教の戒はキリスト教の戒とは異なる。あちらは神との契約なので破ったら大変。こちらは自分との約束。とはいえ一つくらいは守りなさい(せめて明日は夕食を抜いて、不非時食を守りなさい)。

 

現世で悟るなんて困難。何度も生まれ変わらないと駄目。ただ、今回戒を授かったということは深層心理(※第七識以下のことでしょうか)に刻まれ、来世以降に生かされる。もしかすると、今回得度をしようと思い立ったのも前世においても戒を授かった影響なのかも知れない。先は長いが、頑張りましょう。 ※ 再現率が低いのはご容赦

 

自分が、はじめて袈裟を授かった時の初心に立ち返る機会を頂けたことに感謝でした。