西山寺勤行次第

 ウチでは、朝の勤行が7時から75分ほど、夕の勤行が5時から50分ほどです。

 それを短いとみる方も、長いと感じる方もいらっしゃるでしょう。

 時間をかければ十分というわけではないでしょうし、短くても必要十分だったりするでしょう。

 

 高野山塔頭で役僧をしていた時に、そこの上綱様は、どんなに忙しくても、朝夕の勤行を欠かすことはありませんでした。朝は理趣経全段を含めて90分ほど、夕は瞑想でしたが50分ほどです。

 もちろん、出張でご不在の時はあります。ある朝、加行者(修行僧)さんが、やってきて

「上綱様、出張から戻られていないので、導師をお願いします。」

と言われましたので、自分が導師で入ることになりました。

 勤行が進み、5分くらいは経過したでしょうか、理趣経に入ろうかなというタイミングで、本堂の戸が開く音がします。遅刻した宿泊客かなと思い、続けていますと、気配がどんどん大きくなってきます。ついには自分のすぐ近くに。振り返ると、上綱様が傍らで座っておられました。慌てる自分の表情をご覧になって、笑っておられたようです。完全にモノマネ番組の「ご本人さん登場」状態でした。前夜、終電後に戻られたのでしょうか。睡眠不足でお疲れでしょうが、勤行を欠かすことはされませんでした。そのようなお姿を見てきましたので、自分もそこだけは手を抜くわけにはいかないと思っています。

 

 真言宗の信徒さんや、得度はしたものの普段は師僧の寺で勤行に参加することが出来ないけど、どんな次第でお勤めすればいいのかなという方にとって少しでも参考になればと思い、ウチの勤行次第をご紹介いたします。

 

斎場勤行次第

(着座後、一通三下)
先、礼文   

   帰命十方一切仏  最勝妙法菩提衆 
   以身口意清浄業  慇懃合掌恭敬禮

   如来妙色身  世間無与等 

   無比不思議  是故今敬禮

   如来色無盡  智慧亦復然

   一切法常住  是故我帰依

   無始輪廻諸有中  身口意業所生罪

   如仏菩薩所懺悔  我今陳懺亦如是

   十方一切諸衆生  二乗有学及無学

   一切如来与菩薩  所有功徳皆随喜

   十方所有世間灯  最初成就菩提者

   我今一切皆勧請  転於無上妙法輪

   諸仏若欲示涅槃  我悉至誠而勧請

   唯願久住刹塵劫  利楽一切諸衆生

   所有礼賛供養福  請仏住世転法輪

   随喜懺悔諸善根  回向衆生仏道


次、五大願   

   衆生無邊誓願

   福智無邊誓願

   法門無邊誓願

   如来無邊誓願

   菩提無上誓願


次、普供養三力
   オン アボキャ ホジャマニ ハンドマバジレイ タタギャタ
           ビロキテイ サンマンダハラサラ ウン
   以我功徳力 如来加持力 及以法界力 普供養而住

次、理趣経(一巻)
次、仏讃(鉢三十)
次、至心廻向   

   懺悔随喜勧請福 願我不菩提心 

   諸仏菩薩妙衆中 常為善友不厭捨   

   離於八難生無難 宿命住智荘厳身

   遠離愚迷具悲智 悉能満足波羅蜜 

   富楽豊饒生勝族 眷属広多恒熾盛 

   四無礙弁十自在 六通諸禅悉円満

   如金剛幢及普賢 願讃回向亦如是 

   帰命頂礼大悲毘慮遮那仏      


次、 宝号 各三反
      南無本尊界会 南無両部界会 南無八大高祖 南無当山先師尊霊
      南無当山施入精霊 南無日月牌精霊 南無当山檀越一切精霊
      南無有縁無縁一切精霊 南無三界萬霊
次、光明真言 三反

   オン アボキャベイロシャノウ マカボダラ マニ ハンドマ ジンバラ

   ハラバリタヤ ウン
次、大師宝号 三反

   南無大師遍照金剛 
次、廻向
   光明真言 願わくば 善巧方便廻らして
        生死の夢を驚かし 大覚尊となしたまえ
        精霊決定生極楽 

        上品蓮台成正覚
        菩提行願不退転

     引導三有及法界
        願わくば この功徳を以て 普く 一切に及ぼし
        我等と衆生と皆共に仏道を成ぜんことを(一通三下)

 

これで40分くらいです。

このあと護摩堂、薬師堂、外の御堂回りがルーティンです。

それぞれの内容についてはまた別の機会に。