拙寺では、毎月8日午前10時より薬師護摩を修しております。
はじめは誰もおいでにならないで僧侶だけで修法することもありました。今では多くの方がご参加くださり、真言や般若心経をご一緒していただけることありがたく思っております。
ところで、何故毎月8日なのか。第〇日曜日とした方が、皆さんに参加していただきやすいのでしょうが、8日に修法することに意味がございます。というのはこの日がお薬師様の縁日だからです。
縁日とは、神仏の有縁の日。諸尊がはじめて釈尊説法の会座にあらわれた日とするも起源は不明。平日の参詣よりも功徳があるされています(『密教辞典』)。
拙寺の仏様でいうと・・・
薬師如来・・・ 8日
阿弥陀如来・・・15日
観音菩薩・・・・18日
弘法大師・・・・21日
地蔵菩薩・・・・24日
不動明王・・・・28日
大黒天 ・・・・甲子の日
弁財天 ・・・・己巳の日
法務で不在のときを除いては、なるべくその仏様のための修法(一尊法あるいは護摩)をするようにしています。
他にも「千日参り」とか「四万六千日」などというものもあります。
特定の日にお参りすると、千日分、或いは四万六千日分お参りしたのと同じ功徳が得られるというものです。後者に至っては100年を越える功徳ですから、一度お参りすれば一生困らないわけです。
本来なら365日、24時間、仏の心で生きるべきなのでしょうが、なかなか難しいわけです。そこで、せめてその日その時だけは仏様として過ごしましょう、ということで設定された特典付きのキャンペーン期間が縁日です。
母の日以外でも母親に感謝すべきですし、敬老の日じゃなくてもお年寄りをいたわり、感謝しなくてはならないのと同様です。
そういう意味ではお彼岸も縁日みたいなものです。
正式には「到彼岸」すなわち、仏道に励み、迷いのない世界(彼岸)に向かいましょう、という意味ですから、特定の期間だけ頑張ればいいものではないわけです。
明日からお彼岸です。
「今日彼岸 菩提の種を 蒔く日かな」(作者は芭蕉とも蕪村とも)
せめてこの期間くらいは、心を落ち着かせて仏様の真似をして過ごしたいものです。