薬師護摩の表白

 先日、施餓鬼供養の表白を紹介しました。

 今回は、毎月8日10時より行っている薬師護摩の表白を紹介します。

 こんな格調高いものを、自分が作ったわけではありません。

 基になっているのは、室町時代の高僧印融さんの『諸尊表白集』です。

 タイトルの通り、いろんなご本尊さん向けの表白が載っていて、色々な修法の次第でもこれをベースにしていることが多いようです。

 つくづく、昔のお坊さんっていうのはすごい方ばかりで、自分のようなものが後輩を名乗るのが申し訳ない限りです。

 今回はノーカットでどうぞ。

 

敬って真言教主大日如來兩部界會諸尊聖衆、 別しては 本尊聖者醫王善逝、 日光月光十二神将諸大眷屬、 総じては盡空法界一切の三寶の境界に白して言さく

それ藥師如來といっぱ 本道菩薩行の初には、発すに十二の上願を以ってし、 東方瑠璃界の際には導くに千萬の下愚を以ってす。

内外明徹の惠光は能く惑業煩惱の闇夜を破す。 

像末饒益の威力は廣大慈悲の願望を改めることなし。

この故に 藥壺を開いて秘法を施せば、衆病を速疾に除く。

松筭して与えんに 墾念に随えば 壽域を長生に全うす。

加之、日光月光は左右に居して 定慧の二徳を内心に施す。

十二神将は、後前に従って 持誦の四輩を外相に護る。

八萬四千の夜叉は 守護怠らず。

六道四生の群類は 利益休むことなし。

しかれば則ち、一たび その耳に経れるの少縁なお衆病悉除の功有り。

三業相應の懇誠 なんぞ転業增壽の益を施さらん。

これを以って、護持某甲 壇場を靈地に儲け、 薬師護摩秘法を心門に修す。

もししからば、 病痛を須臾に除滅し、災蘖を刹那に消除せん。

身心安全 恒受快樂 無邊善願 決定圓滿 乃至法界 平等利益

敬って白す。

 

 普段の薬師護摩は息災護摩ですので、この表白を用いています。

 祈願内容は、病気平癒、長命、除災となっています。

 これでは、ウチの薬師護摩に参加しても、金運向上や商売繁盛は期待できないのかな、と心配されるかもしれません。

 

 修法には、四つの種類があります(三種にまとめたり、細かく分けて六種にする場合もあります)。息災、増益(そうやく)、敬愛、降伏(ごうぶく)がそれです。意味は字面からお分かりだと思います。

 

 実際、以前に個別に会社の商売繁盛の祈願を頼まれたときには、増益法で薬師護摩を修しました。

 しかし、一度に多くの方の祈願を一度に受けて修法する場合は、息災で修しています。理由は息災法が汎用性が高く、一般的なものだからです。ちなみに、加行で習うのも不動息災護摩です。

 たとえば、商売繁盛だとすると、息災法でも、商売をするうえで障害となる要素を取り除くということで目的を達成できるわけです。

 

 拙寺では、毎月8日のお薬師様の縁日には、午前10時より護摩を修しております。どなたでもご参加できますので、興味のある方は是非ともおいで下さい。