オレオレ詐欺 オレオレ僧侶

 少し前のニュースですが、いわゆる「オレオレ詐欺」の「受け子」の見分け方として特徴がいくつが上がっていました。

 たとえば、身体にあわないスーツを着ている、スーツなのに運動靴を履いている、社会人らしくない髪型をしているなどです。

 これを受けて、詐欺グループも対策を講じてくるかも知れませんが、やはり何かしらの違和感は払しょくできないと思います。

 

 007の主役として抜擢されたショーン・コネリーはそれまでスーツとは無縁な生活だったそうです。製作者としては、英国紳士の見本のようなジェームス・ボンド役にふさわしくなるよう特訓します。その一つが、日常的にスーツを着用することでした。寝るときでさえスーツを着ていたとも言います。

 

 僧侶の場合もそうです。同じように法衣や袈裟を身につけていても、なんか違和感がある方っていらっしゃるんですよね。

 霊園での法事なんかになりますと、他の僧侶の方と同じ控室になったりします。そんなときには、この人、本当にお坊さんなのかな、と思うことがあります。むこうもそう思っているかもしれませんが。

 

 あるときは、冬なのに夏物の絽(透ける素材のやつです)の衣を着た方と一緒になりました。よく喋る方だったので事情がわかったのですが、やはり普段はサラリーマンということでした。師僧の寺の法務が重なったため、動員がかかったそうです。法衣をもっていない為、住職から余っている夏物の衣を借りてきたとのことでした。

 そういえば、先日行った霊園でも、夏物の法衣を着た尼僧さんがいましたね。透けている素材の方がお洒落とか思っておられたのでしょうか。お洒落は我慢とばかりに。

 

 法衣を着ていても本物かどうかあやしいお坊さんがNGなのは当然ですが、法衣を着ていなくてもお坊さんと分かることが理想なのでしょう。それこそが「抹香臭い」ということなのだと思います。

 

 坊さんになりたての頃のことです。

 私服で電車に乗ってると、年配の男性から突然話しかけられました。

 「最近、髪が薄くなってきたんで、いっそのこと剃っちゃおうとと思うんだけど、手間はかからない?」

 急なことでびっくりしましたが、

 「一度剃ってしまえば、あとはお風呂の時に髭剃りで剃るだけですから、手間はかからないですよ。」

と答えました。

さらに続けて、その方は

 「でも、剃ってしまうと仕事に支障ない?」

と聞いてこられました。

 

………自分を僧侶として認識してなかったんですね。

 

とりあえず、

 「むしろ自分の場合、仕事には好都合です。」

とだけお答えしておきました。 

 

 今なら、私服であっても、ただのスキンヘッドの人ではなく、お坊さんと認識されるようになったのでしょうか。