占い ②

 最近、ある方から「こんなのをもらったんですけど。」と、メールを見せてもらいました。

 そこには、このようなことが書かれていました。

 「昨年、高名な風水師がおっしゃっていました。来年(令和二年)は地の龍が暴れるので、水害が多発する。また疫病も流行る、と。云々」

 そんな後出しじゃんけんのような、しかも対処法も示していない占いを提示されても、リアクション取れないです。

 その話、水害で被害を受けた方や、コロナで亡くなった方の遺族の前でできるのでしょうか。

 

 さて、初盆供養の方のお参りをいくつかさせていただきました。

 葬儀社さんがすべてを設えてくださったお家では、細かい意味も分からずに盆飾りをされていることが多いようでした。特に盆飾りでは、本来の先祖供養の為のお供えと施餓鬼のためのお供えが混在してしまっていますので仕方ありません。

 折角ですので、簡単に施餓鬼の話だけはさせていただくようにしていました。

 

 「仏様は、いつも皆さんに手を合わせてもらっている方です。真言や陀羅尼で、褒めたたえられることにも慣れておられることでしょう。たとえば、美人な方が、綺麗だねといわれても、言われ慣れているので大して喜びもしないようなものです。

 一方で、餓鬼さんたちは、普段誰にも供養してもらえずに苦しんでいる存在です。だから皆さんが供養することを心の底から感謝してくださるんです。先祖供養だけではなく、皆さんの力になることなんですよ。」

 くだけすぎて、的外れな部分のある説明かも知れませんが、短い時間の中で少しでも馴染みのない施餓鬼の意図が伝わったら幸いと思い、させていただきました。

 

 この話の中でも出てきたのですが、美人を振り向かせるのに、その美貌を褒めても効果が薄いというのは心理学的に当然だそうです。

 むしろ、本人が普段意識していないところ、たとえば内面であったり、スキルであったりを褒める方が効果的ということです(すべてがパーフェクトな方には無効でしょうが)。.

 しかも、その指摘は必ずしも正しくなくても効果的だというのです。

 

 人には「自己確認欲求」と「自己拡大欲求」とがあるそうです。

 「自己確認欲求」は、自分がすでに認識している自分の特徴を確認したいという欲求です。

 一方「自己拡大欲求」とは、いまだに自分の知らない自分の特徴を認識したいという欲求です。

 そして、欲求の強さでは後者の方がはるかに強いそうです。

 

 先ほどの例で、美人が他人から美人と言われて満たされるのは、前者です。自分でも意識していない内面などを指摘されて満たされるのは後者です。

 

 そして、内面の指摘は、外形的なものと異なり、完全に外れるということはほとんどありません。

 「あなたには裏表がある」

といわれて、完全に否認できる人はいないのではないでしょうか。

 誰にでも当てはまるような漠然とした表現を使うことで、さも自分に当てはまっているかのように思わせる「バーナム効果」というものが一役買っています。

 そして、その内容が肯定的なもの、たとえば「あなたはわりと勤勉です。忍耐強く努力すれば、成功をつかむタイプですね。」といわれたら、怠惰で失敗続きの人であっても、「自己拡大欲求」と相まって、その通りだと「信じたくなる」わけです。

 

 そういう意味では、占いは絶対当たるともいえるわけです。

 

 心の中の、ごくごく「小さな仏」を指摘されて、意識して大きくできることもあるでしょう。そのための方便として占いは有効かもしれません。肯定的で理想的な自分を信じて、その通りになっていこうと努力する分には、誰も不幸にはならないですから。

 

 自分は、これまでに霊能力者と占い師の方から、二度、「死ぬよ」といわれたことがあります。絶対当たるでしょう。そして、安心しました。だって、不老不死とか、面倒くさそうじゃないですか。