施餓鬼の飾りつけとして五色の施餓鬼幡があります。
檀信徒の方にも仏壇の飾りつけ用の小さめの五色の施餓鬼幡をお渡ししております。
そこには、見慣れない仏様のお名前が書かれています。
黄色・・・過去宝勝如来(かこほうしょうにょらい)
青色・・・妙色身如来(みょうしきしんにょらい)
赤色・・・甘露王如来(かんろおうにょらい)
白色・・・広博身如来(こうばくしんにょらい)
黒色・・・離怖畏如来(りふいにょらい)
(紫色)
実は、金剛界五仏の別名です(宝生如来だけはほぼ同じですが)。金剛界曼荼羅の中心の仏さまたち、東寺の講堂の立体曼荼羅でもセンターをはっているメジャーな仏様たちが、働きを解りやすく表している名前で表現されているのです。
黄色・・・過去宝勝如来=宝生如来
青色・・・妙色身如来 =阿閦如来
赤色・・・甘露王如来 =無量寿如来(阿弥陀如来)
白色・・・広博身如来 =大日如来
黒色・・・離怖畏如来 =不空成就如来(釈迦如来)
餓鬼は、生前の慳貪の報いとして醜い姿に変えられています。食事を食べたくても、口に運んだ途端に炎になる、あるいは食道が針の穴ほどしかないので思うようにならないと言われています。
まずは福徳をもたらす宝生如来が布施をもって、餓鬼に堕ちた根本原因である慳貪な心を取り除いて下さります。
次に、阿閦如来が慳貪から自由になった餓鬼を醜い姿から美しい姿(妙色身)に変えてくださいます。
次に、無量寿如来は食事をおいしく(甘露)してくださるのですが、ここでのごちそうとは胃袋を満たす食事のことだけではなく、心を満たす仏法のことでもあります。
次に、大日如来は、餓鬼の細くなった喉を広げてくれるのですが、これは仏法を聞くことが出来たことにより身体が安楽になったことも表しています。
最後に、変幻自在でどのようなことも叶えてくださる不空成就如来のお力により、仏法をしっかりと理解した餓鬼は、心も身体も安楽となり、もはや怖れることは何も無いという境界に至ります。
普段の五智如来の場合、東の阿閦如来、南の宝生如来…の順番ですが、施餓鬼の五如来の場合、このような意味づけから順番が異なっているようです。
以前にも書きました通り、施餓鬼とは、眼前の餓鬼を救うことで、自分の心の中の餓鬼をも成仏させる大切な供養です。
皆様が、手を合わせて祈る際に、イメージ(観相)する助けとなれば幸いです。