法話

必要な時間はそれぞれ

遠い昔の記憶ですが、大学で刑法を習ったときに、いつから「人」となり、いつ「人」でなくなるのか、という話がありました。 始期についていえば、「堕胎罪」の客体となるのか、「傷害罪」や「殺人罪」の客体となるのかの問題になりますし、終期についていえ…

不慳貪

今日も十善戒の話の続きです。 今日からは「心」の戒律です。 「不慳貪」とは、ごく簡単に言えば、物惜しみをしないこと、欲張らないことです。 以前に、塾で教えていたときのことです。 同僚の社会の先生が授業を終えて職員室に戻ってきて、こんなことがあ…

聖地は自分で創るもの

かつては「聖地巡礼」といえば、四国のお遍路さんや西国巡礼、海外ならばフランスからスペインにかけてのキリスト教の巡礼であるサンティアゴ・デ・コンポステーラなどをイメージする方がほとんどだったと思います。 しかし、現在では、ネットで検索しても分…

不両舌

今日も十善戒の続きです。 言葉に関する戒の最後に出てくるのは「不両舌」です。 よく、文字通りに「二枚舌を使わないこと」と説明されていることもあります。 しかし、実際はそう単純ではありません。 ある人にはAと言い、別の人にはBと言うことにより、仲…

余韻こそ贅沢

以前、塾講師をしていた頃の同僚の方々は個性豊かな面々でした。 その中のお一人は、アマチュアで指揮者をなさっているとのことでしたが、こんなことをおっしゃっていました。 「人生で至福の時と聞かれたら、演奏が終わった瞬間の静寂と答えるよ。ときどき…

リモート法要と運心(うんじん)

先日、初めてオンライン法要というものを致しました。 こちらからの話ではなく、自宅に伺って三回忌をする予定だった施主さんから、要望があり、それに応える形でした。 自分の中では、これでもちゃんとした供養といえるのか、モヤモヤした気持ちであったの…

お布施① 【お布施の受取人は誰】

以前に、師僧から、 「お布施をもらうときに、『ありがとう』って言っちゃいけないよ。『お預かりします』と言うんだよ。」 と言われました。 なるほどその通りです。 お布施を受け取るのは、あくまでもお寺であり、お寺にいらっしゃる仏様であるわけです。 …

天上天下唯我独尊

今日は花祭りということで、お釈迦さまの話をしたいと思います。 既に、玄関にいらっしゃった、生まれたばかりのお釈迦さまに甘茶をかけて下さったかもしれません。 ご存じの通り、今から二千五百年ほどむかしの今日、四月八日にお釈迦さまがお生まれになり…

大師はいまだおわしますなる

もちろん、今日の主役は弘法大師です。 では、弘法大師が生まれたのはいつですか 詳しい方なら、宝亀5(774)年6月15日とスラスラと出てくるかもしれません。 お生まれになったのは香川県の屛風ヶ浦、いまの善通寺のあたりです。高野山などでは「青葉まつり…

不悪口

今日も十善戒のお話です。 口にまつわる戒律の続きになります。不妄語、不綺語の次は不悪口です。 今までのものよりも、意味を推し量ることが容易な気がするかもしれません。 しかし、一般的に用いる「悪口」を言ってはならないということではないのです。 …

見えない力

先日、ある本で、上座部仏教(主に東南アジアで盛んな仏教)の長老さんがこのようなことを書いておられました。 「神仏に加護を願う文化は世界中に有りますが、御守をぶら下げる文化は日本独特のものでしょう。(中略)以前に、あるお坊さんから、お守りとして頂…

不綺語

今回も十善戒のお話です。 前回の不妄語に続いて、言葉に関する戒です。 「不綺語」 「綺」とは「綺麗」の「綺」ですから、悪い意味が無いように感じるかもしれませんが、そうではありません。 意味としては、中身のない、無意味な言葉ということになります…

慈悲の鎧

昨年はコロナ一色といった感じで終わりました。今年もしばらくは我慢の日々が続きそうです。 昨年から、香川の善通寺さんで開かれている「疫病の祈り伝授会」を受けに行ってます。文字通り、昨今の状況を鑑みて、身体健全や疫病退散に特化した様々な修法を学…

不妄語

十善戒の続きです。 前回までは、不殺生、不偸盗、不邪淫という身すなわち行動面での戒律でした。 今回からは言葉に関する戒律が四つ続きます。 まず最初にお話しするのが、不妄語戒です。 不妄語戒とは簡単に言うと、噓をつくなということです。 中には、「…

不邪淫

十善戒の話の続きです。 今日は不邪淫についてです。 別に、例の記者会見を受けて、タイムリーな話をしようというわけではありません。前回までにお話しした不殺生、不偸盗とあわせて「身」すなわち身体、行動に関する戒律です。 とりあえず意味は、正しい愛…

パスカルの賭け 仏の世界は有るか?

「あの世」ってあると思いますか? 冒頭から、変なことを言って驚かれたかも知れません。 「あの世」があると思っているから、葬儀もするし法事もしているんだと言い切る方もいらっしゃるでしょう。 しかし正直、存在に確信を持てないけれども、慣習としてや…

お礼参り 願ほどき

昨年末のことです。 拙寺にマイクロバスが止まり、中からぞろぞろと人がおりてくるのが見えました。 うちは観光寺院ではありません。行事のときは檀信徒の方が来てくださいますが、普段は閑散とした寺です。 怪訝に思い、よく見てみると常々、星祭や薬師護摩…

不偸盗

今日の十善戒の話は「不偸盗」についてです。 他人の物を盗むなかれ、という意味です。 前回の不殺生よりも簡単そうですね。 たしかに、この中に刑事罰の対象となる窃盗犯はいらっしゃらないでしょう。 でも、残念ですが、仏法は人間の作った法よりも甘くあ…

不殺生

本日も、薬師護摩にご参加くださりありがとうございます。 今年は、高野山で戒律講習会を受けに行ってます。 そこで聞いた話をしたいと思います。 よく「仏法僧」といいます。聖徳太子が「篤く三宝を敬え」といった「三宝」のことです。 ここでいう、「僧」…

善財童子の冒険

自分は東寺の御膝元にある洛南高校の卒業生です。今でもそうなのかは知りませんが、自分の在校時には各クラスごとに仏様の写真が祀られていました。 ほかのクラスでは見覚えのある仏様だったのですが、自分のクラスでは、一見するとただの子供の写真でした。…

迷信と俗信

ある僧侶の方が、こんな相談を受けたそうです。 「ある方から言われたんです。この数珠には作った人の魂が入ってしまっているので、『魂抜き』してもらう必要があるそうなんです。どうしたらいいですか。」 さすがに答えに窮してしまったそうです。 むしろ、…

占い ②

最近、ある方から「こんなのをもらったんですけど。」と、メールを見せてもらいました。 そこには、このようなことが書かれていました。 「昨年、高名な風水師がおっしゃっていました。来年(令和二年)は地の龍が暴れるので、水害が多発する。また疫病も流行…

占い ①

先輩の僧侶がこんなことを仰っていました。 「在家出身で、密教僧になろうというのは、『拝み屋』か『人生一発逆転を狙っている奴』がほとんどや。」 言葉は乱暴ですが、実際そういう方が少なくないのは事実のようです。 『拝み屋』さんではないですが、占い…

如実知自心

最近、ヤフーニュースでは、難読漢字の問題と心理分析の問題ばかり目にしているような気がします。 前回、私たちの心には仏もいれば、鬼もいるというお話をいたしました。 仏も色々な方がおられるでしょうし、鬼も色々な種類が住んでいることでしょう。 さな…

WITH 鬼

終わりの見えないコロナ禍に鬱々とした気分の方も多いことでしょう。 いくら「with コロナ」などといわれて、コロナウィルスとうまく付き合っていけ、と言われても、確立した治療法やワクチンもない現状では、お付き合いしたくはないものです。 この体 鬼と…

祈願

本日も、お参り下さりありがとうございます。 花祭りに、護摩供養。お釈迦さまはびっくりされているかもしれません。 というのも、お釈迦さまは色々な祈願を禁止していました。 私たち真言宗の「お家芸」である真言もまじないのたぐいとして原則として禁じら…

衛門三郎

本日は御影供にお集まり下さりありがとうございました。 毎年の行事ですので、御影供の意味をお話しする必要もないでしょうから、代わりに弘法大師さんの逸話を一つ紹介しようと思います。 四国遍路はみなさんご存じでしょう。俗に「最初のお遍路さん」と言…

一番簡単な修行 六波羅蜜行

よく、お坊さんの修行ってどんなことをするんですか? と尋ねられます。 「滝に打たれたりするんですか?」とか、「山の中を走り回るんですか?」とか言われて、「いえ、そんなのはしないですよ。」と答えると、大概の方は残念そうな顔をされます。 たしかに高…

信仰と依存

以前、先達をしていたときのことです。 お客様から、「落とした数珠を拾うときの真言を教えてください。」と言われました。 自分は、そのような真言を知りません。 別の日には、他のお客様からも同じ質問を受けました。 この質問を受けたのは、自分だけでは…

雑巾になれ(菩薩行)

少し仏教に興味を持っている方なら、仏様(といっても広義の仏様)は4種類に分類できることをご存じかと思います。 ①如来(これが狭義の仏です) ②菩薩 ③天部 ④明王 の4種類です。 中には、この種類に順位付けをして「如来」を最上位と説明する方もおられますが…